研究概要 |
エストロゲンの減少が顎骨に与える影響を明らかにするために以下の実験を行った。 実験動物には12週齢の雌性日本白色家兎を使用した。実験にあたっては,咬合による物理的刺激の顎骨への影響を除外し,可能な限りエストロゲンの減少による影響のみを検討する目的で下顎切歯を抜歯した。抜歯後84日目に実験動物を卵巣摘出群と偽手術群に分け,実験群の家兎に対しては両側の卵巣を挙上,結紮後切除した。また,対照群に対しては卵巣を挙上後摘出することなく元に戻す偽手術を施した。術後84日目に屠殺して下顎骨を摘出し,pQCTで骨の体積密度を測定した。次いでVillanuevabone stainを施した後に樹脂にて包埋し,非脱灰研磨切片を作製し,画像解析装置を用いて卵巣摘出後の下顎骨海綿骨梁の変化を骨形態計測学的に解析した。 その結果,卵巣摘出群では全骨密度および海綿骨密度の有意な減少を認めた。また,相対類骨梁,単位類骨量,分画吸収面,骨梁面あたりの全骨標識率で卵巣摘出群は対照群よりも有意に高い値を示した。 以上のことからエストロゲンが減少すると,下顎骨においても他の部位の骨と同様,骨吸収優位に骨代謝回転がに亢進し,骨量の減少を来すものと考えられた。
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