配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
顎関節症は、病態生理学的因子、社会心理学的因子、咬合因子、悪習癖因子等多因子が関与しているといわれているが、その発症および進展メカニズムについては不明な点が多い。本申請では、顎関節部の恒常性および病態生理に深く関与していると示唆される滑膜細胞の培養系を確立すると共に、その細胞学的諸性質について検討を行った。<方法>インフォームド・コンセントを行った顎関節症あるいは顎関節強直症患者の観血的手術時に顎関節滑膜を採取し、out growth法にて滑膜細胞を得た。初代培養は20%FCSを含むHamF12にて、継代培養は10%FCSを含むHamF12にて行い、継代数6-8代のものを実験に供した。得られた細胞の表層抗原は免疫染色法により検索した。次に、confluent stageの細胞に顎関節症患者の滑液中で上昇しているIL-1βあるいはTNF-αを作用させて、培養上清を採取し、培養上清中のplasminogen activator(PA)活性は合成基質を用いて、IL-6、IL-8、monocyte attractant protein(MCP)-1はELISA法にて測定した。<結果>out growth法にて得られた顎関節滑膜細胞は、紡鍾形を呈する細胞と多角形を示す細胞が認められた。線維芽細胞マーカーおよびビメンチン抗体に陽性で、マクロファージマーカー、HLA class II、樹状細胞マーカー抗体には陰性であった。培養上清中のPA活性は、作用させたIL-1β濃度依存的に上昇した。IL-6量はIL-1βの作用時間および作用濃度に応じて上昇し、mRNA量もIL-1β作用にて増加した。IL-8量とMCP-1量は、IL-1βあるいはTNF-αの作用時間および作用濃度に応じて上昇し、mRNA量もこれらサイトカイン刺激にて増加した。また、IL-1βあるいはTNF-αを作用させた系作用させない系について、IL-6,1L-8,MCP-1について免疫染色を行ったところ、作用した系ではIL-6,IL-8,MCP-1抗体いずれについても染色陽性細胞と陰性細胞が混在していた。作用させない系ではIL-6,1L-8,MCP-1抗体で染色陽性細胞は認められなかった。<考察>顎関節滑液中IL-1βやTNF-αが増加すると、滑膜細胞を刺激し、PA活性、IL-6やchemokineであるIL-8,MCP-1が増加し、炎症の進展や細胞外基質分解が更新することが示唆された。また、免疫染色の結果から、得られた滑膜細胞は線維芽細胞様細胞であるものの、機能的にheterogenousであること示唆された。
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