研究概要 |
1997年8月から2000年12月までに当科にて治療した口腔扁平上皮癌を検索対象とした。AgNORs,VEGFの検索は10%緩衝ホルマリン溶液にて固定後のパラフィンブロックにて検索した。また,第VIII因子関連抗原,サイクリンD1,AgNORsの検索を凍結標本より行った。 パラフィンブロックからの検索対象は,男性31例,女性29例,平均年齢67.4歳,舌27例,上顎歯肉8例,下顎歯肉15例,口底5例,口蓋2例,口唇1例,頬粘膜1例,上顎洞1例で,病期分類ではステージIが16例,ステージIIが20例,ステージIIIが8例,ステージIVが16例であった。凍結標本からの検索対象は男性3例,女性8例,平均年齢70.0歳,舌5例,上顎歯肉1例,下顎歯肉4例,上顎洞1例で,病期分類ではステージIが2例,IIが5例,IVが4例であった。また,正常歯肉をコントロールとした。 1)VEGFの検索:パラフィンブロックより免疫染色し,腫瘍細胞の染色濃度より+,±,-に分類した。 2)Ag-NORs数の検索:Howell & Blackのone step法をを若干改良した方法にて染色を施し,AgNORs数より+,〓,〓に分類した。 3)第VIII因子関連抗原の検索:凍結切片より免疫染色を行った。 4)サイクリンD1の検索:凍結切片より免疫染色を行った。 その結果,正常粘膜に比べ癌は第VIII因子関連抗原により多くの血管新生を認めた。サイクリンD1と血管密度との関係はみられなかったが,血管密度が高い程AgNORsが多い傾向がみられた。パラフィンによる検索では,VEGF陽性例に頚部リンパ節転移が多くみられた。
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