研究概要 |
11歯科医院において2〜5歳で齲蝕を主訴として訪れ齲蝕処置終了後,12歳まで定期健診を継続的に受診した88名と対照群の151名を対象とした。 定期健診の状況と乳歯修復物の予後,12歳までの永久歯の齲蝕予防効果について調査した。 次に,小児期における定期健診が,生涯における累積医療費の抑制におよぼす影響について経済的に検討した。 1)修復物の機能期間は,定期健診群では3.30年,対照群は2.48年であり,定期健診群は約0.8年機能期間が長かった。 2)定期健診群の12歳時のDF歯数は,2.39歯,対照群では4.52歯であり,定期健診群の方がDF歯数は約2,1歯少なかった。 3)定期健診により抑制された乳臼歯の医療費は,39,456〜89,664円と推定された。 4)定期健診によって抑制された12歳までの永久歯の医療費は,13,802円と推定された。 5)定期健診によって抑制された75歳までの医療費は,522,526〜572,734円と推定された。 6)定期健診1回あたりで抑制された累積医療費は,19,353〜21,212円であった。 7)定期健診の費用便益比は,1:5.53〜6.06であった。 以上より,小児期からの定期健診を行うことで,歯科医療費を大きく軽減させる可能性があると考えられた。
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