可動型パノラマX線撮影装置(LPX7007・朝日レントゲン工業)を1台購入し、水中死体や腐乱死体や焼死体などの遺体のX線撮影を行った。いずれも感電圧を調節することにより鮮明な画像が得られた。体格のいい成人男子を撮影する時は線量不足になる可能性があるため高感度の増感紙の使用が望まれた。死後硬直のため開口不可能な遺体の撮影もLPX7007では問題なく撮影できた。ただし、肩が上がった状態の遺体撮影の場合、カセッテが肩に接触することがあった。そこで、アームを延長し回転半径を長くとるよう改良した。 LPX7007のデジタル化開発に着手した。外形は大幅に変更せず、従来のフィルムカセッテホルダーにOCDセンサーを内蔵したカセッテを装着できるようにした。デジタルX線撮影によりコンピューター・ディスプレイ上に約1分で鮮明な画像が写し出された。拡大・縮小、計測、反転、回転、あるいは濃度・コントラストといった画像処理が簡単にできた。 生前通院していた歯科医院と解剖室あるいは災害現場を想定しインターネットで結び、電子メールにてX線画像・歯科カルテ・口腔内写真を送受信することができた。歯科資料を直ちに見ることができ、さらに、生前と死後のX線画像をコンピュータ上でスーパーインポーズすることもできた。 以上より、LPX7007のデジタル化およびインターネットを利用した歯科資料の転送により身元不明死体の迅速かつ正確な個人識別が行えることがわかった。
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