研究概要 |
本研究では、モレキュラーインプリンティング(MI)法のための自動化ポリマー合成・評価システムを構築し、系統的に自動合成されたMIポリマーライブラリーを評価することによって、認識しようとする鋳型分子に最適な機能性モノマー、溶媒、反応条件などを簡便かつ迅速に見出すコンピューター支援コンビナトリアルMI法を開発することを目的とした。 平成11年度は,モデル化合物としてトリアジン除草剤(アトラジン・アメトリン)を用い、機能性モノマーはメタクリル酸と2-(トリフルオロメチル)アクリル酸の2種類を用いて、それぞれの量比を鋳型分子に対し0〜6当量の範囲で変化させ、49種類のポリマーからなるライブラリーの調製を,自動化ポリマー合成・評価システムで行った。その結果、アトラジンのインプリントにおける機能性モノマーにはメタクリル酸が適しており、またアメトリンにおいては2-(トリフルオロメチル)アクリル酸が適することが明らかとなった。この結果は、これまでに確立されている手法による実験結果と合致するものであり、ポリマー合成・評価ロボットの作製が可能であることが示された。 平成12年度は,蛍光をもつシンコニジシ(CD)をモデル認識対象分子とし、CDインプリントポリマーライブラリーの合成を行い、評価の迅速化を目的として,ポリマーへのCDの結合を蛍光マイクロプレートリーダーを用いて定量することを検討した。結合量と蛍光強度の関係より、結合量-蛍光強度の間には直線関係があり、マイクロプレートリーダーを用いた蛍光測定により結合量を見積もることが可能であることが示された。また、従来10時間掛かったポリマー評価を数秒で行うことが可能になり,評価の迅速化も達成された。
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