研究課題/領域番号 |
11672169
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高野 幹久 広島大学, 医学部, 教授 (20211336)
|
研究分担者 |
永井 純也 広島大学, 医学部, 助手 (20301301)
村上 照夫 広島大学, 医学部, 助教授 (20136055)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | P-糖蛋白質 / 腎障害 / 肝障害 / 内因性阻害物質 / 多剤耐性 / コルチコステロン / エストロゲン / 内分泌かく乱物質 / ローダミン123 / 内因性物質 |
研究概要 |
薬物排出ポンプであるP-糖蛋白質(P-gp)は、癌細胞の抗癌剤多剤耐性(MDR)を担う本体の1つであり、MDR克服に向けてP-gp阻害物質の開発が進められている。またP-gpは正常組織にも存在し、薬物の体内動態支配因子としても重要である。本研究では疾患時におけるP-gpのin vivo機能を精査し、その変動に内因性P-gp阻害物質が関与することを明らかにするとともに、MDR克服物質の発見に向けて阻害物質の実体解明を試みた。 腎ならびに肝疾患時におけるin vivoでのP-gp機能について、P-gp基質Rho123の動態を指標に解析し、障害臓器のみならず全身性のP-gp機能低下を認めた。各種臓器でP-gpの発現低下は認められないこと、疾患動物の血漿でP-gp阻害効果が観察されたこと等から内因性阻害物質の関与が示された。候補物質の1つコルチコステロンの血漿中濃度を測定したところ、両疾患時に上昇することが判明した。また健常な状態では尿中に阻害物質が排泄されると考え、ヒト尿抽出物について調べたところP-gp阻害活性を持つ物質が複数存在することが明らかとなった。1例としてP-gp阻害活性を持つエストロゲン(エキリン)の存在を認めた。また尿抽出物の分離、同定の過程で、内分泌かく乱物質ジ-2-エチルヘキシルフタレートが検出された。この物質によるP-gpへの直接的な阻害効果は観察されなかったが、体内に摂取された種々の内分泌かく乱物質が、P-gpや異物代謝酵素等の生体防御系に如何なる影響を与えるのか解明が望まれる。また、体液中には複数のP-gp阻害物質が存在することから、量的な制約はあるものの、今後さらに分離・同定を進めることで新たなP-gp阻害(MDR克服)物質の発見に結び付くものと期待される。
|