研究概要 |
非侵襲生体観察近赤外クロスレーザービデオ顕微鏡の開発と組織・細胞機能解析への応用を試み、以下の実績を得た。 1.非侵襲生体観察近赤外クロスレーザー顕微鏡の開発 2台の近赤外レーザー光源の光を生体組織中の任意の1領域に照射し、そこから得られる観察像を顕微鏡用対物レンズで捉え、CCDカメラで撮影し、デジタルビデオレコーダーにより記録する非侵襲生体観察近赤外クロスレーザービデオ顕微鏡の開発を試み、半透明な薄い膜の下が観察可能なシステムの構築に成功した。さらに、デジタルビデオの画像を高速演算コンピューター(平成11度設備備品費にて購入)により解析するためのプログラムを開発し、上記観察システムと組み合わせた非侵襲生体観察近赤外クロスレーザー顕微鏡の部分開発に成功した(BUNSEKI KAGAKU 48,299-314;Jpan J.Pharmacol.79,25P;J.Bioscience and Bioengineering 90,574-576)。 2.皮下組織におけるマスト細胞機能解析への応用 本システムを用い、アレルギー反応に関与するマスト細胞の動態解析を、ラット皮下組織で試みた。しかし、ヒトよりも表皮の厚いラットの皮下においては、本年度開発したシステムでは鮮明な画像の取得が困難であることが判明した。ラット皮下組織での解析が困難であったため、まず、モデル実験系として、RBL-2H3細胞の観察を試み、成功した(医学のあゆみ188,189-190;臨床化学28,94a-96a;Jpan J.Pharmacol.85,12P)。 3.臨床薬学分野への応用 本研究の最終的目標は、臨床応用である。そこで、上記1のシステムの臨床薬学分野への応用を目指し、まず麻酔・蘇生科及び集中治療部等の臨床現場での活動を開始し、その中での薬剤師ならびに薬学の役割、さらに基礎研究や研究ツール開発の重要性を提言した(薬事新報2091,59-60;中毒研究13,437-438;日本救急医学会誌11,623-625)。
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