研究概要 |
1)ヒト・フィラリア寄生虫であるマレー糸状虫(Brugia malayi)より各種プロテアーゼのcDNAの系統的なクローニングを試み,5種類の全長cDNA,14種類の部分配列を得た.この他,EST databaseを検索し,重複したクローンの統合・編集を行うことにより,さらに30種を越えるプロテアーゼ様配列を見出した,これらについて,今後クローニングを行う. 2)得られたcDNAのうち,アスパラギン酸プロテアーゼ2種について,大腸菌中で発現させた.インクルージョン・ボディより変性剤を用いて可溶化し,変性条件下で精製後,リフォールデイングして酸性プロテアーゼの活性を得た.また抗体を調製してフィラリア寄生虫の免疫染色を行い,BmAsp2は生殖巣と体壁,BmAsp3は消化管に存在することを明らかにした.今後は,線虫類のコドンに適した無細胞蛋白質発現系の構築を行い,各種プロテアーゼを発現・解析する. 3)C.elegansのプロテアーゼ様配列を持つ遺伝子130種類について,RNAi法による検索を行った.23個の遺伝子で胚あるいは幼虫期での致死が見られ,また,数個の遺伝子について形態形成や生殖巣の形成における影響が見出された.今後,C.elegansの結果を参考にB.malayiの生活環に重要なプロテアーゼを明らかにし,阻害剤開発へと展開する.
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