研究課題/領域番号 |
11672279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (20075493)
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研究分担者 |
入江 かをる 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50075496)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | エンドトキシン / リポタイコ酸 / 細静脈血管透過性亢進作用 / プロスタグランジン / 一酸化窒素 / 敗血症性ショック / エンドトキシントレランス / 副腎皮質ホルモン / サイトカイン |
研究概要 |
〔目的〕エンドトキシン(LPS、グラム陰性菌由来)は、種々のメディエーターを産生、遊離し、発熱、炎症、ショックの原因となる。我々は、LPSによる血管透過性亢進作用は、一酸化窒素(NO)、プロスタグランジン(PG)、サイトカインを介して生じることを明らかにした。LPSのないグラム陽性菌由来のリポタイコ酸(LTA)も、LPSと極めて類似した病態を生じるが、生体におけるLTAの作用機序に関しては報告がない。本研究では先づ、LTAとLPSによる急性炎症のメカニズムの相違を調べた。更に、少量のLPS前処置でその後に投与したLPSやLPS以外の他の炎症メディエーターによる血管透過性亢進が抑制され(トレランス)、トレランス発現には副腎皮質ホルモン、サイトカイン(TNF-α、IL-1α)、NOが直接関与することを明らかにしたので、本研究では、LTA少量前投与によってもLTAに対するトレランスが生じるかどうかを調べ、敗血症性ショック予防薬としてLPSやLTAが考えられるかどうかを検討した。 〔成績〕1)LTA投与による血管透過性亢進作用の出現は、LPSの場合と同様に遅効性で、投与2時間後より著しく色素漏出量が増加し、その増加は用量依存性であった。2)LTAによる色素漏出量増加は、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬のインドメタシンで抑制されたが、NS-398(COX-2選択的)では抑制されなかった。LTAの作用は、ジフェンヒドラミンやPAF拮抗薬で抑制されたが、NOS阻害薬のL-NAMEやアミノグアニジン(iNOS選択的)、グアニル酸シクラーゼ阻害薬、抗TNF-α抗体および抗IL-α抗体では抑制されなかった。3)少量のLTA前処置後LTAによるトレランスは発現しなかった。血清中コルチコステロン量はLPS前処置後増加したが、LTA前処置後には増加はみられなかった。 〔結語〕LPSによる血管透過性亢進作用には、NO、PG、サイトカイン(TNF-α、IL-1α)、ヒスタミン、PAFが関与する。LTAの作用はPG、ヒスタミン、PAFを介するが、NOやサイトカインは関与せず、LPSの作用機序とは全く同じではないことが示唆された。更に、LTA前処置後、血清中コルチコステロン量は増加せずLTAの作用にトレランスが発現しなかったことから、トレランス発現にはコルチコステロン量の増加が一部関与することが示唆された。以上の結果より敗血症時のショックの予防にLPS関連物質は応用可能と考えられるが、LTA関連物質は有用でないことが示唆された。
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