研究課題/領域番号 |
11672296
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 高明 名古屋大学, 医学部, 教授 (80198720)
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研究分担者 |
北市 清幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (40301220)
高木 健次 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80126870)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | エンドトキシン / サイトカイン / 一酸化窒素 / 肝薬物代謝酵素 / 生体膜輸送機構 / P糖蛋白 / 肝薬物代謝酵素活性 / 一酸化窒素合成酵素阻害薬 / 一酸化窒素発生薬 / 薬物動態学 |
研究概要 |
本研究では、第一にエンドトキシンによる時間依存的な肝薬物代謝酵素活性の低下に対するNOの関与をin vivo実験系で検討した。その結果、エンドトキシン刺激によって標的細胞であるマクロファージ(Kupffer細胞)の誘導型NO合成酵素(iNOS)により過剰に産生されるNOが肝薬物代謝酵素活性の低下を直接惹起させていることがin vivo実験系で初めて明らかにされた。また、NOドナーによって起こる肝薬物代謝酵素活性の低下とエンドトキシンによって起こる低下がよく一致していることも明らかになり、エンドトキシンによって産生される過剰のNOそのものがin vivoにおいて肝薬物代謝酵素活性を低下させる主な要因であることが示唆された。また、選択的iNOS阻害薬は、エンドトキシンによるNOの過剰の産生抑制作用によって、エンドトキシン血症時における肝薬物代謝酵素活性の低下、ひいては臓器障害、血行動態障害を阻止する薬物として有用であると考えられ、今後のさらなる検討が期待される。 第二に生体における解毒機構として重要な役割を果たす薬物膜輸送担体P糖蛋白に着目し、このP糖蛋白介在性の胆汁排泄および腎排泄機構に及ぼすエンドトキシンとエンドトキシンによって過剰に産生されるNOとサイトカイン(TNF-α)の影響についてin vivoにて検討した。モデル薬物にはP糖蛋白の基質であるローダミン123(ローダミン)を用いた。その結果、エンドトキシンはローダミンのP糖蛋白介在性の胆汁排泄および腎排泄を時間依存的に低下させることが明らかとなった。この低下に対するTNF-αおよびNOの関与について検討した。その結果、TNF-α産生阻害薬(ペントキシフィリン)を前投与することにより、この低下を抑制したが、誘導型NO合成酵素(iNOS)阻害薬の前投与では抑制できなかった。この結果はエンドトキシンによるP糖蛋白介在性の薬物排泄機構の障害にはエンドトキシンによって過剰産生されるTNF-αが一部関与することを示唆する成績である。次に、肝臓及び腎臓におけるP糖蛋白のmRNA、特にmdr1aおよびmdr1bの発現に及ぼすエンドトキシンの影響について検討した。エンドトキシンはローダミンの輸送蛋白であるP糖蛋白の遺伝子mdr1aのmRNA発現を時間依存的に低下させることが明らかになった。この結果はin vivoにおける成績と良く一致した。本研究より、エンドトキシン血症時においてはエンドトキシンによって過剰に産生されるTNF-αが時間依存的にP糖蛋白の発現を低下させることによりP糖蛋白介在性の薬物排泄機構を変化させることが示唆された。今後、エンドトキシン血症時における薬物の生体膜輸送機構に及ぼす他のサイトカインの関与について検討する必要がある。
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