研究概要 |
1.多発性骨髄腫患者に対する末梢血造血幹細胞採取における腫瘍細胞の検出 自家末梢血造血幹細胞移植(ABSCT)目的で末梢血幹細胞採取(PBSCC)を施行した進行期の多発性骨髄腫患者において、末梢血幹細胞浮遊液(PBSC graft)中に混在しうる骨髄腫細胞(CD38強陽性/CD138強陽性)を二重染色フローサイトメトリーにて定量したところ、11例中5例で0.01%以下であった。しかし、このような腫瘍細胞混入の少ないPBSC graftを用いてABSCT(tandem移植も含む)を行っても、最終的には殆どの症例が再発した。このことより、ABSCT併用超大量抗癌化学療法のみでは残存する骨髄腫細胞を十分に排除できない可能性が示唆された。 2.骨髄腫細胞に対するアポトーシス誘導治療 ABSCT併用超大量抗癌化学療法後も残存しうる抗癌剤耐性骨髄腫細胞に対する新たな治療戦略のモデルとして、ヒト型化抗Interleukin-6受容体抗体(hPM1)や第三世代bisphosphonate製剤(YM529)の骨髄腫細胞株(KPMM2,RPMI8226,U266)に対する抗腫瘍効果をAnnexin-Vと7-aminoactinomycin D(7AAD)による二重染色フローサイトメトリーで検討したところ、両者はいずれも培養細胞株に対して明らかなアポトーシス誘導効果を示した。さらに、hPM1は骨髄腫患者より分離精製した新鮮骨髄腫細胞に対しても、濃度依存性かつ時間依存性に細胞死誘導効果を示す傾向にあることが判明した。
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