研究課題/領域番号 |
11672311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
賀来 満夫 東北大学, 大学院・医学系・研究科, 教授 (40224357)
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研究分担者 |
石井 恵子 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (00291253)
金光 敬二 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90277971)
嶋田 甚五郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (50056701)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 肺炎球菌 / ペニシリン耐性 / pneumolysin / neuraminidase / 病原因子産生 / 吸着性 / 莢膜 |
研究概要 |
ペニシリン耐性肺炎球菌の疫学的解析において、肺炎球菌におけるペニシリン耐性菌の占める割合は47%と非常に高く、肺炎球菌の薬剤耐性化が急速に進んでいることが明らかとなった。莢膜血清型の解析ではペニシリン耐性菌では19型が68%と最も多くを占め、次いで23型が24%で、この二型で92%を占めていた。一方、ペニシリン感受性菌では21型が45%と最も多くを占めていたものの、その他の血清型は幅広く分布するなど、両者に相違が認められた。 肺炎球菌の病原性を規定する因子として、莢膜産生や肺上皮細胞への吸着、ノイラミニデースやニューモリジンなどの菌体外酵素・菌体外毒素の産生が知られているが、今回の病原性解析において、ペニシリン感受性菌とペニシリン耐性菌の両者の間には差は見られておらず、ペニシリン耐性であっても、病原性を十分保持していることが明らかとなり、ペニシリン耐性菌が感染症の原因となった場合、難治性で、より重篤な病態を惹起する可能性があることが示唆された。 また、病原因子抑制の解析において、各種抗菌薬の数段階に設定したsub-MIC濃度を添加した液体培地でペニシリン耐性菌を一定時間培養し、菌数の変化を確認するとともに、培地中に分泌されたノイラミニダーゼおよびニューモリジンの産生性を検討した。その結果、sub-MIC濃度のマクロライド系抗菌薬やリンコマイシン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬がペニシリン耐性肺炎球菌のニューモリジンを抑制した。その機序については明らかでないが、マクロライド系抗菌薬やリンコマイシン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬は薬理作用として蛋白合成阻害作用を有しており、病原菌のリボゾームに作用し、ニューモリジンの産生抑制効果を示した可能性がある。今回の解析で、これら、蛋白合成阻害作用を有する抗菌薬の投与により、肺炎球菌感染症の重症化が阻止される可能性があることが示唆された。
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