本研究は、要介護度、介護力、介護負担感および要介護者の生活の快適性の4要素の関連を視覚的に表現するモデルを提案するものである。あわせて、各要素をスコア化するためのアセスメント票を作成し、各調査項目の家族介護者・ケア提供者間の信頼性について分析した。さらに現場のケア提供者の意見からその利用可能性について検討した。 要介護度、介護力、介護負担感、要介護者の生活の快適性の4要素の関連を視覚的に表現するため、シーソーによる均衡のイメージを用い図式化した。各要素をスコア化するためのアセスメント票は、Cost of Care Indexの日本語版をもとに各要素について4〜5を選定し、計20項目で構成した。介護アセスメント票の評価者間信頼性を検討するため、要介護者103人を介護する家族介護者およびケア提供者を対象に調査した。解析には、κ係数と一致割合を使用した。提案したモデルの利用可能性については、29名のケア提供者を対象に、実際の在宅介護状況との妥当性、アセスメントの簡便性、ケアプランの活用など6項目について調査した。 結果として、信頼性を示すκ係数は全体として高いものの、要介護者との人間関係の項目では低い値を示した。利用可能性について、視覚化によるわかりやすさを評価する一方、ケアプランの活用、在宅介護状況との妥当性については限界を指摘する意見がみられた。 在宅介護状況を視覚的に表記するアセスメントするモデルを提案し、調査項目について家族介護者・ケア提供者間信頼性を確認した。モデルの利用可能性については、図式によるわかりやすさの面などで評価される一方、事例に対する詳細な把握の面で難しさが指摘された。
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