研究概要 |
看護技術の臨床的有効性の検証方法の枠組みとして、帰納的科学的方法の4段階(1.文献を用いた研究対象-対象,目的,手順-の観察、2.課題の明確化、3.仮説設定-臨床における適用条件としての仮説、4.研究-エビデンスのレベルを考慮した研究デザイン)の方法を考案した。この方法を用いて、「睡眠を促す足浴技術」の検証を試みた。 1.事例および実験研究文献検討によって、足の冷感を訴える不眠の患者に足浴が有効であること、足浴の生体への影響として、皮膚温上昇、副交感神経活動の亢進が予測できることが明らかとなった。 2.足皮膚温の高低差による皮膚温上昇、副交感神経活動の亢進の仮説設定を行った。 3.18名の研究同意の得られた女性を対象に準実験研究を実施した。その結果、足底皮膚温の低い対象はそうでない対象に比べ、皮膚温、末梢深部温の上昇と上昇維持時間が長く体表からの熱放散を促進させやすいことが明らかとなった。また副交感神経活動も亢進しやすい傾向が認められた。以上の結果から、足底皮膚温が低いほうが眠りに入りやすい身体状態を作りやすいということが示唆された。つまり、睡眠を促すために足浴を用いる場合、下肢の冷感を訴える対象に用いるほうが有効である可能性が示唆された。 これらの結果から考案した検証方法に関して、臨床の事例報告の活用と看護技術の適用条件に関する検証に有効であると示唆された。
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