研究概要 |
本研究は、看護学生が臨床看護学実習前に、いつでもどこでも,必要に応じて人間関係技術をトレーニングできるシミュレーション型CAI教材の開発を試みた。その開発過程は次のようである。1)文献レビューにより、専門職ナースに求められるコミュニケーション能力を明らかにした。2)エキスパートナース32名を対象とした面接調査により、現実の"患者と看護婦の人間関係"に関する学習課題を明らかにした。3)文献および調査結果に基づき,トレーニングが必要とされるコミュニケーションの要素を抽出した。4)ケアリングに焦点を当てて、コースアウトラインおよび画面を作成した。 開発したCAIの特徴は次のようである。1.運用システム:シャープシステムプロダクトによるスタディライター、2.学習目標:(1)自分自身の対人関係の傾向を知る、(2)看護場面において人間関係を良好にする言動を知る、(3)看護場面において人間関係を阻害する言動を知る、(4)患者やその家族の状況の変化により、コミュニケーションの方法も変化することを知る。3.学習内容:(1)看護におけるコミュニケーションの意義・目的、(2)コミュニケーションの要素(傾聴、共感、受容、誠実さ、尊重、支持)の意味とそれらが必要な看護場面、(3)対象を理解した言語的コミュニケーションのあり方。4.学習方法:(1)ナースになり、さまざまな場面における問いかけに対して意思決定を行い、コースを進む、(2)サウンドとイラストを取り入れたフィードバックメッセージや、写真を取り入れたリアリティのある看護場面を提示されることにより、学習を進めていく、(3)わからない用語は辞書機能により解説を受けることができる。 本CAI教材は、今後、事例の追加により、いっそう完成度が高まるであろう。
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