研究概要 |
がん化学療法に伴う味覚障害を回復する効果的な口腔ケアの介入を行うことを目的として,1.味覚回復ケアと患者・家族へのセルフケア教育に関する全国調査 2.味覚回復を促進させるレモン含嗽についての基礎研究 3.がん化学療法に伴う味覚障害患者に対する10%レモン炭酸水含嗽の効果に関する研究の3研究を計画した. 全国の病院調査では,634名(回収率63.0%)から返答があり,有効回答568名を分析した.味覚回復のための患者・家族へのセルフケア教育は58.6%に行われていた.味覚回復のための含嗽ケアは27.5%であった.含嗽の種類としてはイソジンガーグル,レモン水が高頻度に利用されていた.過去15年間のレモン水に関する文献レビューでは味覚回復効果に関する研究はなく,科学的根拠が明確にはならなかった. そこで臨床応用を行う前に基礎実験により唾液分泌量,味覚閾値,快適感を指標としてレモン含嗽水について検討を行った.蒸留水をコントロール群として5%・10%・15%のレモン濃度で比較した.その結果,10%レモン含嗽が唾液分泌を促進させ、一部の味覚閾値を敏感にすることが証明されたが,快適感が低く問題を残した. 第二実験として,10%レモン水含嗽の快適感を高めるために,炭酸水(市販のサイダー)を加え,同指標により比較した.その結果,10%レモン炭酸水が唾液分泌量快適感からみてよいとの結論を得た. この成果をもとにがん化学療法を受けている味覚障害患者に対する10%レモン炭酸水含嗽の効果を検討するために,悪性リンパ腫患者に対する10%レモン炭酸水含嗽の効果に関する研究計画書を作成した.計画書では,調査スケジュールと内容,口腔内の合併症を予防するための歯磨き指導,Oralクライオtherapy,患者説明文と説明資料について明記した.
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