研究概要 |
1.分泌型免疫グロブリンAと上気道感染症罹患との関係 男性31名を対象に唾液中分泌型免疫グロブリンAの測定と上気道感染症罹患調査を2カ月間行った.上気道感染症に罹患した者は6名あり,分泌型免疫グロブリンAの低下後に上気道感染症を発症した者がいた.罹患数が少なかったので,さらに検討を要する. 2.運動量と分泌型免疫グロブリンA変動との関係 (1)男子9名(年齢10〜12歳)に20mシャトルランテストを行った.走行時間は7.7±1.5minで,唾液分泌型免疫グロブリンAはテスト前が20.2±3.1μg/min,テスト後が15.5±3.2μg/minで有意な変化はなかった.唾液分泌型免疫グロブリンAは最大運動であっても短時間の一過性運動では低下せず,運動時間が影響していることが示唆された. (2)継続的な運動が唾液分泌型免疫グロブリンA分泌に及ぼす影響を横断的に検討した.継続的なトレーニング群の唾液分泌型免疫グロブリンAは27.5±15.5μg/min,コントロール群の唾液分泌型免疫グロブリンAは19.9±14.9μg/minであり,トレーニング群が有意に高値を示した.継続的なトレーニングが唾液分泌型免疫グロブリンAを増加させる可能性が示唆された. 3.運動による分泌型免疫グロブリンA低下のメカニズム マウスに運動負荷し,運動前後の分泌型免疫グロブリンAの変動を測定した.5匹中4匹で運動後の分泌型免疫グロブリンA低下が観察され,マウスを実験動物として,運動による分泌型免疫グロブリンA低下のメカニズムを検討できる可能性が示された.
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