卵巣摘出した女性ホルモン分泌抑制下のラットにインパクトローディング(ジャンプトレーニング)を行ない、骨形態・骨量・骨強度・骨代謝などに及ぼす影響を検討した。実験にはウィスター系雌ラットを用い11週齢時に卵巣摘出手術を行ない、12週齢から8週間をトレーニング期間とした。飼料・水は自由摂取とし、インパクトローディングとして高さ40cmのジャンプ10回を週5回行なわせた。卵巣摘出群およびシャム手術(非摘出)群にそれぞれトレーニング群とコントロール群を設けた。ジャンプトレーニングは脛骨の脱脂乾燥重量を、卵巣摘出ラットで19%増加させ、非摘出ラットの18%増加と同程度であった。3点支持破断試験による骨強度においても、ジャンプトレーニングの効果は卵巣摘出ラットと非摘出ラットで同程度であった。また、骨形成の指標となる血清オステオカルシンのトレーニングによる増加も両群で観察された。骨吸収の指標となる血清1CTPについては、トレーニングによる変化が両群とも観察されなかった。骨幹部の横断面積分析においては、外側方向への成長が非摘出ラットの方が顕著であった。以上の結果より、インパクトローディングの骨に対する効果は、卵巣摘出した女性ホルモン分泌抑制下のラットにおいても、シャム手術(非摘出)を行なったラットと同程度であることが明らかとなった。また、ジャンプトレーニングを用いて1週間当たりのトレーニング頻度に着目した実験を行なった。その結果、女性ホルモン分泌抑制下のラットにおいてもインパクトローディングは週1回でも効果が有り、脛骨の骨重量・骨強度を増加させるが、骨形態に表れる効果は非摘出ラットと若干異なることが明らかとなった。
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