研究概要 |
平成11年度〜平成14年度交付申請書に記載した「研究目的・研究実施計画」の事項に従ってアマゾン河の水位の年変化と日変化の出現特性に関する解析と考察を行った.得られた成果(概要)は次のとおりである. 1.研究の成果は,「研究成果報告書」(様式11)にまとめた(平成15年3月). 2.ブラジル国内アマゾン河水系の上流より,Sao Paulo Olivenca, Santo Antonio Ica, Tefe, Manacapuru, Manaus, Obidosの6地点の水位変動の特性を次に示す.(1).S.P.Olivenca:1973-97年の期間の平均値から,最高水位は5月末に現れ,最低水位は9月末に現れる.3月末から6月末までは高水位が続き,8月から10月末まで低水位となる.高水位期内の水位変動は微小であるが,低水位期内の水位は波状に動く.最高水位-最低水位の年較差は約700cmである.(2).S.A.Ica:同上の期間の平均値から得られる結果は,水位の年変化のパターンについては,S.P.Olivencaと類似している.ただし,高水位の値はS.P.Olivencaよりも約50cmほど低く,低水位の値は時期によってはS.P.Olivencaよりも約50〜100cmほど高い.水位の年較差はS.P.Olivencaとほぼ同程度である.(3).Tefe:平均値(この地点は1982-2000年の間)から水位の年変化をみると,最高水位は6-7月に現れ,最低水位は10月に現れる.両者の較差は約700-800cmである.(4).Hanacapuru:平均値(この地点は1972-2000年の間)から水位の年変化をみると,最高水位は7月初に現れ,最低水位は10月末に現れる.両者の年較差は約900cmである.(5).Manaus:平均値(同上の期間)から水位の年変化をみると,最高水位は6月末に現れ,最低水位は11月初に現れる.両者の較差は約960cmである.(6).Obidos:平均値(同上の期間)で見ると,最高水位は6月に現れ,最低水位は11月に現れる.両者の較差は約432cmである.Obidos地点の日流出量の観測値(1968-1998年)はANEELより入手し,この地点の水位流量曲線等に関する解析は完成した. 3.上の結果をGISにより図化し,「Water level dynamics in the Brazilian, Amazon」と題して公表する.本計画は,2003年1月に合衆国のMillersville大学で開催された「アマゾン河流域国際共同研究の企画書の作成」に関する会議において取り決められた.本研究は,この国際活動をとおしてさらに深化・発展させたい.また,水質についてはアマゾン河流域,日本,ハワイ諸島,他の水を比較検討し,併せて,国内においては,世界の大河研究の活動を継続・発展させる計画である.
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