研究概要 |
平成13年度は,以下のような調査研究を行った. 1.平成11年度に作成した奈良盆地周辺の地形分類図に示された,地形発達史やネオテクトニクスの面から鍵を握るとみられる重要度の高い中・高位段丘面について,ひきつづき試料採取を行った. 2.平成12年度に引き続き、ガンマ線スペクトロメトリ測定器のキャリブレーションと検量線作成を継続し,いくつかの試料のU, Th, K含有量の測定を行い,年間線量の推定を試みた. 3.近畿圏における段丘堆積物のルミネッセンス年代測定を考える上での比較検討材料として、植被に乏しく、太陽光を十分浴びて、光ゼロイングを十分受けていると考えられるチベット高原地域の河岸段丘堆積物試料や日本の火山周辺地域における段丘堆積物を覆う風成ローム層についてもサンプリングを行い、OSL年代を検討し、その過程で具体的な測定方法の見直しを行った。 4. 3をうけて、近畿圏の段丘堆積物試料に関する測定方法の見直しを進めた。サンプル量の再現性の問題などでかなりの改善をみたが、現時点ではまだ、近畿圏の中・高位段丘堆積物を十分な精度と確度で求めるまでには至っていない。第四紀中〜後期の年代測定法として信頼性の高い年代値を得るためには,日本ではまだ利用されていない、放射線照射装置付きのルミネッセンス信号測定装置を早急に導入し、とくに放射線照射による感度変化とルミネッセンス信号のfadingの引き続き他方面からの測定手法の見直しを加えてゆく必要がある点を明らかにした.
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