研究概要 |
本研究は,ゲル材料からなる高齢者に適した高機能オムツ素材開発の設計指針を得ることを目的とする.平成11年度は,ポリビニルアルコール(PVA)とポリエチレンオキシド(PEO)水溶液にコバルト60のガンマー線を照射してハイドロゲルを調製し,尿のモデルである,純水,アルカリ金属塩,アルカリ土類金属塩,尿素などの水溶液に浸せきし,膨潤度を測定した.膨潤度は,科学研究費補助金により購入した倒立顕微鏡を用い,溶液に浸せきした状態で円柱状ゲルの直径を測定して得た.その結果,溶質特異的な膨潤挙動,例えば,PVAゲルが,2価金属の臭化物では膨潤し,硫酸塩では収縮するなどの興味深い知見を得た.平成12年度は,PEOゲルが,収着物質として選んだドデシル硫酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤水溶液中において,その臨界ミセル濃度付近以上で急激に膨潤することを観察したので,それに関して添加塩の効果などの基礎的知見を得ることを目的として実験を行った.そして,この2年間に得られた実験結果に関して,溶液中の溶質や電解質とゲルとの相互作用および水分子を通しての相互作用などを考慮し総合的に考察を行った.ゲル材料の吸水メカニズムの詳細な検討より,高齢者用オムツに適した素材として,また,新たな高機能生活材料としてのゲル材料利用の可能性を見出した.
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