研究概要 |
1 社会生活基本調査の分析から,社会的活動が,有配偶者,共働き世帯で行為者率が高いこと,行為者率についての明確なジェンダー差がみられないこと,活動分野では,児童・老人・障害者対象の活動で女性の関わりが多いことなどが明らかになった。 2 ボランティア活動参加者の生活時間調査を実施した。調査内容は,ボランティア活動に参加した日の生活時間および関連する事項に関する質問である。調査から明らかになった成果は次のとおりである。 (1)男性より女性のほうがボランティア活動参加時間が長い。有職男性はボランティア活動参加時間が短い。男女とも既婚者よりも単身者のほうがボランティア活動参加時間が長い。 (2)家事労働におけるジェンダーの影響はボランティア活動参加者においてもみられる。とくに,既婚女性の家事労働時間が長く,家庭内家事労働分担率も大きい。 (3)しかし,ボランティア活動に参加している男性は,他の一般男性よりは,家事労働の行為者率が高い。 3 ボランティア活動団体のリーダーへのインタビュー調査を実施した。成果は次のとおりである。 (1)ボランティア活動団体の会合の時間帯や活動内容によって,ジェンダーによる参加しやすさが異なる。 (2)男女の長所短所を意識しているリーダーと意識していないリーダーがいる。 4 以上の成果をまとめると,現在の日本におけるジェンダーギャップの問題は,ボランティア活動参加者の場合も該当している。ボランティア活動に参加する人が多くなるほど,ボランティア活動は特別な活動でなくなり,家庭経営,生活経営のなかに位置づけて考えていく必要がある。
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