研究概要 |
酢酸添加が米飯の物理的・化学的性質に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 試料として日本晴を使い、0、0.05、0.1および0.2Mに調製した酢酸水溶液に浸漬後、炊飯した。炊飯米の状態を官能検査、物性および呈味成分(遊離糖、遊離アミノ酸)の量より評価した。 この結果、酢酸添加米は無添加米に比べて、有意に軟らかく、粘りが強く、保存中の老化感の変化も小さいことが、官能検査、および物性により認められた。また,酢酸添加によりグルコース量は大きく増加し,総遊離アミノ酸はわずかに増加した。また還元糖量も増加した。 さらに試料としてアミロース含量の高いタイ米、滋賀県産日本晴、新潟県産コシヒカリおよびもち米(佐賀県産ヒヨクモチ)を用いて、同様の検討を行った。炊飯後の物性はクリープメータを用いて、一粒法および集合法により測定した。 この結果、酢酸添加の効果は米の種類によって大きく異なった.一粒法によるタイ米の飯粒の破断荷重は大きく減少し、飯粒の付着荷重は増加した。一方ヒヨクモチでは、飯粒の破断荷重および付着荷重には大きな影響が見られず,付着歪みにおいて顕著な増加が見られた.他の2種はこれらの中間にあった。 米粒中のプロラミンおよびグルテリン画分は、酸処理によって浸漬液に溶出した。 以上より酢酸添加による米飯物性改良効果の原因の一つとして、酸によりたん白質が水溶液中に溶出し,デンプンがより膨潤しやすくなったことがあげられた。
|