研究課題/領域番号 |
11680170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化財科学
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研究機関 | くらしき作陽大学 |
研究代表者 |
北野 信彦 くらしき作陽大学, 食文化学部, 助教授 (90167370)
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研究分担者 |
肥塚 隆保 独立行政法人文化財研究所, 奈良文化財研究所・埋蔵文化財センター, 室長 (10099955)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 出土蒔絵漆器 / 金蒔絵粉 / 銀蒔絵粉 / スズ蒔絵粉 / 石黄 / 劣化現象 / 材質・技法 / 保存・修復 / 手板試料(標準サンプル) / 金蒔絵〓 / 人造石黄(As_2S_3) / 劣化実験 / 紫外線劣化 / 蒔絵漆塗手板(標準サンプル) / 腐食劣化 / 亜砒酸(As_2O_3) / 塩化銀劣化現象 / 硫化銀劣化現象 |
研究概要 |
本研究では、調査可能であった近世出土蒔絵の加飾部分の材質や生成混和物を分析して、基本的な蒔絵加飾部分の劣化のメカニズムを把握した。次に、この結果を踏まえて使用される確率の高い各種蒔絵材料と、地塗り漆や下絵漆の使用顔料との相互関連性を中心に据えた蒔絵塗膜面の手板試料(標準サンプル)を作成した。その結果、近世蒔絵漆器で多用される蒔絵粉材料は、金(Au)の他、銀(Ag)・スズ(Sn)・石黄(As2S3)さらにはこれらの混合材料の多種多様であり、とりわけ劣化の著しい出土蒔絵漆器の場合、金自体を使用した例は数%程度で極端に少なく、金でも銀含有量が高い。実際の出土資料の大半は漆のニス効果を生かした銀粉・スズ粉、石黄粉であった。年代別に蒔絵粉材料の使用比率を集計してみると、江戸時代前期〜中期は石黄粉、江戸時代中期〜後期は銀蒔絵粉、江戸時代後期〜幕末期はスズ蒔絵粉を用いた蒔絵漆器が多く、江戸時代における蒔絵技術の変遷が明確に理解された。この内、これまで研究例がほとんどない石黄粉について材料学的に調査した。その結果、江戸時代前期頃の石黄は海外交易で輸入された天然鉱物を、江戸時代後期以降は、江戸時代の本草本に記述された製法からなる亜砒酸と硫黄を合成して製造する人造石黄であることが確認された。出土蒔絵漆器の内、銀蒔絵粉およびスズ蒔絵粉資料の劣化状態を調査した結果、銀蒔絵粉の多くから塩化銀(AgCl)もしくは硫化銀(AgS)が検出された。そして紫外線劣化などで銀蒔絵加飾部分をコーティングしてある漆面がまず破壊され、むき出しになった銀金属が腐食されてイオン流出し、これと接触する包含土壌の鉄イオン等が固結して表面固化殻を形成する劣化現象が考えられた。一方、スズ蒔絵粉もしくは梨子地の場合、まず腐食によりスズ粉もしくは箔の体積比率が変化してコーティングしてある漆面を物理破壊させる劣化現象が確認された。
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