研究概要 |
本研究は,2003年からの新教育課程を対象に,情報技術に関するミスコンセプションを探りながら,それを解決するためのマルチメディア教材を作成することを目的とした.具体的な研究成果は以下のとおりである. 1. 教員のミスコンセプションや情報教育における意識調査 教科「情報」の現職教員等講習会における参加者の意識調査を行った.その結果,研修参加者の多くが,ミスコンセプションというよりむしろ未体験であることが明らかになった.とくに著作権などについては,その概念の基礎であるディジタルの特性に関連づけるには到底至っていない段階であった.また,「情報の発信」単元における実習の評価において教員の考えの差異が大きいことという課題も明らかなった.以上のようにミスコンセプションの原因は情報に関する基礎的な概念にあることが示された. 2. 制作評価に関するミスコンセプションを意識した授業実践 情報の発信における情報の表現に関する科学的な理解について,デザイン科学の基礎を情報教員に体験させ,その経験をもとに指導案を作成し,実践授業を行った.提示教材は,情報の表現方式による効果を実際に生徒が感じ,理論的に思考できるようなシミュレーション教材を作成した.授業結果としては,理論に基づき生徒が相互評価するなどの効果がみられた. 3. マルチメディア教材の開発 音響情報科学に対応した教材,中学情報教育用ロボット組み立て教材,コンピュータの仕組みなどいくつかのマルチメディア教材を作成した.それらの教材をWebベースでネットワーク配信することも行った. 4. 授業分析のための支援システムの開発 上記2,3の評価分析のために,視聴者の視野と映像を記録するシステムの開発を行った.本システムは,学習者の視点とミスコンセプションとの関係を探ることに有効であると考える.
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