研究概要 |
本研究は,3年計画で実施され,本年度は,最終年度にあたる。 本研究の研究目的は,知的障害養護学校の中で,障害の重い知的障害児,自閉症児の「自立活動」の指導において,「動作法」をどのように適用すれば効果的であるかについて,事例研究を中心に検討することである。3年間の研究の概要及び得られた研究成果については,以下の通りである。 (1)平成11年度,6名,平成12年度,6名,平成13年度,4名,3年間で計16名の知的障害児,自閉症児への「動作法」適用の事例研究を実施した。平成11年度の事例は,動作課題の検討が主であり,膝立ち位での腰の落とし停めとせり上げ,立位での左右への体重移動が行動特徴をみる課題として効果的であることが分かった。平成12,13年度の10名の事例では,「動作法」による動作変容が,他の心理行動(例えば,手指による作業課題,人物画描写,動作模倣,遊び等)の発達・変容とどのような関連性をもつか,に焦点をおいて実施された。これらの事例では,動作変容が心理行動の発達・変容に効果をもたらすことが示された。 (2)この結果は,「動作法」の適用が,児童・生徒の心理行動の向上に効果的であることを示し,知的障害養護学校における「自立活動」の目的に合致し,指導法としても有効であることを示唆している。 (3)研究成果報告書では,平成13年度に実施した4名の事例研究(2名は,「動作法」と動作模倣発達の関連性を,2名は,「動作法」と遊びの発達の関連性をテーマとした)を掲載した。 (4)3年間の間に,九州大学大学院人間環境学府附属発達臨床心理センター,独立行政法人国立特殊教育総合研究所,愛知教育大学に出向き,本研究への貴重な助言を受けた。
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