配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
研究概要 |
1.ミキシング条件を満たすマルコフ型連続時間確率過程の汎関数に対して,その分布の漸近展開を与えた.離散時間モデルに対して知られていた条件付きクラーメル条件が,マリアヴァン共分散の非退化性条件に置き換えられ,確率微分方程式に対して漸近展開が導出され,そのバリディティ(解析的正当性)も同時に証明された. 2.1の統計推測論への応用として,ミキシング条件を満足する連続時間確率過程のなすパラメトリックモデルに対するM-推定量の分布の漸近展開が導出された.さらに,拡散過程に対して,漸近展開公式の係数の表現を完全に与えた.上記1,後述の5とともに,この結果はこの分野の基本的なものとして,応用され始めている. 3.スモールシグマ理論の設定で,小さな拡散係数を持つ拡散過程のパラメトリックモデルの総体に対して,最適モデル選択のための基準(情報量基準)を導出した. 4.セキュリティが一般の非線形確率微分方程式で記述されるとき,それに対するデリバティブの価格計算は容易でない問題となるが,ボラティリティ項を摂動し,漸近展開によって近似計算が可能である.これは筆者が始めた方法であるが,その後多くの研究者がこの方法によって近似計算を行っている.セキュリティの確率微分方程式が未知パラメータを含む現実的な設定で,その推定量の代入がオプション価格の近似に及ぼす影響を評価し,有効な漸近展開公式を与えたものである. 5.長期記憶過程を係数とする確率微分方程式に対する漸近展開は,そのモデルが通常のミキシング条件を満足しないので,新しい形式の漸近展開理論が必要となる.パーシャルミキシングの概念を導入し,汎関数の漸近展開を与えた.同時に,汎関数のマリアヴァン共分散の局所非退化性を,サポート定理によって大幅に検証容易なものとし,これによって,確率微分方程式に対する漸近展開が,独立観測に対するように,自由に運用できるようになった. 6.条件付き期待値の漸近展開は,最も非正則的な漸近展開と言え,無限次元確率解析によってそれが可能となる.その理論を与え,フィルタリング問題への条件付き漸近展開の応用について議論した.
|