研究概要 |
本研究では,視覚入力として1枚の画像から,モデルとしてあらかじめ与えられた3次元物体の位置・姿勢を推定する問題を扱う.対象とする3次元物体は剛体と人体などの関節物体とする.この問題に関する従来の手法の多くは,画像から点や線分などの幾何学的特徴を抽出し,その特徴を3次元物体モデルへ対応づけるアプローチをとる.しかし,画像から幾何学的特徴を抽出する段階でノイズ等の影響を受けやすいという問題点がある.そこで我々は,幾何学的特徴の対応づけを行うかわりに,画像から抽出したエッジやシルエットを入力とし,これと3次元物体モデルから生成した線画を重ね合わせたとき,最もよく重なるような3次元物体モデルの位置・姿勢を求めることを考えた. 剛体の位置・姿勢推定問題は,6次元パラメータ空間における図形の重なりを評価値とした最大値探索問題とみなすことができる.この問題に対して,我々は,複雑な解空間での最適解探索に適している遺伝的アルゴリズム(GA)を適用することとした。本研究は,GAを位置・姿勢推定問題に適用する際に工夫・検討を加え,処理の効率化を目指すものである.具体的には、以下のような成果を得た. 1.剛体の位置・姿勢推定において,物体モデルをあらゆる角度から見たとき(あらゆる姿勢)の線画同士の類似度を調べて類似姿勢表をあらかじめ作成する.そして,認識段階においてこれを姿勢推定に利用し,パラメータ空間の探索を効率的に行う手法を提案し,シミュレーション実験によりその有効性を確認した. 2.関節物体の姿勢推定においては,関節物体の姿勢を表すパラメータ空間は、剛体姿勢のパラメータ空間に比べて、極めて大きい。そのため,モデルが入力画像中の物体領域(シルエット)からはみ出ないようにパラメータ空間を限定する工夫を行った.そして,対象関節物体を2次元に限定して,提案手法の有効性を確認した.
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