研究概要 |
本研究は能動学習による高次元領域内の最大球推定問題において,新しい幾何推論に基づく「外接多面体近似法」を提案し,理論的・実験的解析を通じてその有効性を評価することが目標である.本研究では,外接多面体近似アルゴリズムの実現,理論的解析,システムの実装および実験を行った.また,本手法をエージェントの行動モデルとしても形式化し,実験によりその有効性を示した. ・まず,外接多面体近似アルゴリズムを実現した.提案するアルゴリズムは,以下の要素から構成される. 1)初期設計点からの初期外接多面体の構成:初期探索方向の決定,線探索,多面体の構成および多面体が構成されない場合への対処からなる 2)外接多面体の最大球内接球の生成:双対性を用いた線形計画法を用いる 3)次に線探索する方向の決定:外接多面体と最大球の中心を用いた二分探索法を用いる ・また,アルゴリズム中で用いる種々のオペレーションのコストを仮定し,外接多面体近似アルゴリズムについて理論的に解析した.解析の結果,提案手法は,最大球に高精度が要求される場合は,従来手法である内接多面体近似法に比較して効率的であることが示された. ・次に,外接多面体近似アルゴリズムを計算機上に実装し,比較的単純な領域を用いて実験を行った.実験の結果,特に高精度が要求される場合に,計算時間の短縮が顕著だった. ・なお,本手法を能動学習の観点から,未知の環境において外界をモデル化しながらタスクを達成するエージェントの行動モデルとして形式化し,実験によりその有効性を示した.モデルを検討し,探索点の偏りに関する利点や対象領域推定への応用に関しても結論を得た.
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