研究概要 |
文字認識システムを構築するためには多種多様な文字を含んだデータペースが必要不可欠であるが,データベースの構築には非常に多くの時間とコストがかかる.本研究課題では,多種多様な文字を含んだデータベース構成の手段として,Wada&Kawatoの書字運動モデルと遺伝的アルゴリズムを応用した文字の変形生成方法を提案した.変動エントロピーによって,生成した文字パターンの多様性を確認したところ,手書き文字データベースであるETLと同程度の多様性をもっていることを確認した.次に,提案手法によって生成された文字が,文字認識手法の改良や認識辞書の補強のための学習データとして活用できることの確認を行なった.つまり本手法によって生成した文字パターンによって構成した辞書あるいはトレーニングデータベースの有効性を検証するために,提案手法により作成した文字による辞書/トレーニングデータベースが実際の人の手書き文字による辞書データベースの代替となることの確認を行った.確認には,Glucksmanの特徴抽出法により抽出した特徴を使用し,複合類似度法,線形識別法,Nearest Neighbor識別,ニューラルネットワークによる識別法の4つの識別法を使用したシステムを構築し,認識実験を行うことによって実施した.実験には実際の手書き文字データベースであるETL6,ETL9の文字と本手法によって生成した文字データベースを用い,両データベースを使って構成したパターン認識システムの性能を比較した結果,ほぼ同程度の認識率を得ることができ,提案手法の有効性を確認できた.
|