研究概要 |
本研究課題では,目的とする「地形図画像からの高精度数値標高モデル自動作成システム」を開発するために,既開発のパイロットモデルに対して種々の性能改善を実施した。 まず,パイロットモデルを多数の等高線地形図に適用して問題点の洗い出しを行った。その結果,断線等高線の自動復元手法については,(1)接続条件が甘い,(2)誤接続箇所が自動的に発見できない,(3)一度復元した断線部分の接続変更ができない,などの問題点が見出された。これに対して,接続条件を厳しくする,信頼性の低い隣接関係の生成を抑制する等の改善によって,誤接続の発生を大幅に減らすことができた。さらに,等高線データからDEMを生成する既存の補間手法についても問題点が見出されたので,新たに単調関数補間と呼ぶ手法を開発した。これは,評価実験の結果,(1)補間精度が高い,(2)不自然な瘤や凹みを生じない,(3)モルフォロジー補間などと違って等高線付近でも滑らかさを失わない,という優れた特徴を有する補間手法であることを確認した。そして,正則化法に基づいたDEM生成法としてGrimson法を代表に選んで,その性能評価実験を行った。 また,グラフィック・ユーザ・インターフェイス(GUI)を駆使したユーザ・フレンドリーな処理システムとしての具体的実現として,ユーザが介在して断線接続処理が不適切な箇所を会話的に発見し,接続内容を直接指定する会話型接続処理を開発し,人間のパターン認識能力を効果的に利用した接続復元処理を実現した。これによって,従来手法では接続復元が難しい場合にも対処可能となった。 今回の改良によって,一連のDEM生成処理がかなりスムーズに実行できるようになった。今後も,システムの実利用化を目指して一層の性能改善を推し進めたいと考えている。
|