研究概要 |
マルチメディアデータベースでは,マルチメディアデータをどのように効率良く圧縮し,目的のデータをどのように簡単に検索するかが重要な課題となる.現在,マルチメディアデータの流通は,ほどんどが圧縮されたデータがほとんどであるにもかかわらず,内容に基づく類似検索に必要な特徴量の抽出は,原データもしくは圧縮データを原信号に復元し,行なわれる.効率的な内容に基づくマルチメディアデータの検索システムを構築するためには,圧縮データまたは圧縮過程から索引となる特徴量を直接抽出する技術が必要となる. 本研究では,原データを対象とせず,圧縮データを対象とした内容に基づく類似検索の新しい枠組みを提案し,この枠組みの上で圧縮楽曲データ検索システムのプロトタイプを作製する.このとき,圧縮楽曲データ検索システムでは,圧縮時の圧縮レートであるビットレートに対してできるだけ依存しない検索が必要となり,低品質圧縮データからでも高品質圧縮データからでも圧縮楽曲データを検索できる索引空間を生成することが要求される. 本研究では,MPEG4/audio(TwinVQ)の圧縮過程で使用される自己相関分析に着目し,圧縮過程において実行される自己相関分析で出力される自己相関係数が,理論的かつ実験的にビットレートに対してほとんど依存しないことを確認した.さらに,ビットレート-自己相関係数対応関係を作成し,この対応関係を用いた楽曲特微量を提案した. 提案した楽曲特微量の検索能力を評価するため,1023曲で構成される楽曲データベースを構築し,様々なビットレートの圧縮楽曲データを問い合わせとして検索実験を行った.実験の結果,提案した楽曲特微量は幅広いビットレートの問い合わせに対しても有効な検索能力をもっていることが分かった.
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