研究課題/領域番号 |
11680439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会システム工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 誠 東京大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70302677)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 競争 / スキャナーパネル・データ / 消費者行動 / ブランド選択 |
研究概要 |
パッケージ消費商品において価格競争は非対称であることが今迄のマーケティングの研究で実証されれている。これは、高価格、高品質の商品による価格プロモーションが低価格、低品質の商品のシェアを勝ち取る効果の方が、低価格、低品質の商品による価格プロモーションが高価格、高品質の商品のシェアを勝ち取る効果より大きいことを意味する。その説明として消費者行動理論の側面からは下記の3つが提案されている:(1)消費者選好の異質性効果(heterogeneity effect)、(2)経済学に基づいた所得効果(income effect)、(3)心理学に基づいたロス回避効果(loss-aversion effect)。これらの説明は異なった研究者が異なったデータを使い異なった方法論によって独自に提唱されており、共通の枠組みで比較しどれが一番妥当なのかと言う研究は現在まで行われていない。 今回の研究の目的は3つある。1番目は価格の非対称性において重要な要因の検討である。(1)マーケット・シェアのような集計データでは需要側と供給側の両方の要因が複雑に反映されるため、要因を分離するためには世帯レベルのパネルデータを分析しなければならないこと、(2)非対称性を測る適切な尺度は交差弾力性でなく他ブランドの単位当りの価格に対するシェア絶対量の変化であることの2点が挙げられた。2番目は、これらの結果にもとづいて上記3つの非対称性価格競争に関する既存の説明に対しての理論的な検討である。 (1)異質性効果:集計データを使って交差弾力性を分析し、非対称性の説明は間接的、かつ憶測的である。 (2)所得効果:物品が無限小に分割できるという非現実的な仮定に基づいている。 (3)ロス回避効果:世帯の異質性が十分にモデル化されていない。 これらの問題点は世帯レベルのスキャナー・パネルデータを用いて4つの商品カテゴリー全てにおいて実証された。3番目に、非対称性の新しい説明として通常ミクロ経済学で仮定される効用に対する価格の収穫逓減効果が提案された。この価格の効用に対する凹状の反応、すなわち収穫逓減の効果は対数より強いことが4つの商品カテゴリーで確認された。
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