研究概要 |
ひとつの母集団から得られたデータが層別される状況を分類することができた.そのひとつは,Meredith(1964)が学科誌The Psyckometrikaにおいて初めて研究成果を公開し,その後の同誌における研究の発端となった"selection"による場合であり,今ひとつはLittle(1972,Biometrika)やDempster et al.(1984,JRSS)がEMアルゴリズムの発表によって動機付けを与えた欠測値による場合である.本研究では,因子分析法を含む線形構造方程式モデルあるいは共分散構造分析モデルに研究対象を集中することによって,これらのアプローチで発生する事後層別による品質情報の抽出に関する研究を行ってきた. 研究成果の一部は,すでに第13回と第14回アジア品質管理シンポジウムにおいて発表し,昨年度開催された国際計量心理学会(IMPS2001)においも発表を行ってきた.具体的には,Muthen et al.(1989:Psychometrika)やMereidth(1964)のアプローチにしたがって,観測ベクトルXの一部の値によって母集団を分類したとき,全体の母集団において因子分析モデルが成立しているならば,事後層別された母集団においても因子分析モデルが成立する条件を明確にすることができた.しかも,適当な条件が成立するならば,その因子分析モデルは不適解を伴うモデルとはならないことを明らかにした.さらに,この考え方を線形構造方程式モデルに適用し,商品パッケージの最適設計を行うための実験計画法と融合した解析方法を提案した(現在論文投稿中である.) 現在は,欠測値によるアプローチとselectionによるアプローチの異質性および同質性について研究を行っている.この研究によって,事後層別されたデータの解析方法に対するひとつの回答が得られるものと期待している.
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