研究概要 |
半正定対称行列空間上の典型的な最適化問題や双線形方程式系は,半正定値計画問題,そしてその最適性条件として現われる相補性方程式であるが,半正定値計画問題のみならず,その特殊な場合である2次錐計画問題や線形計画問題も含めて研究を進めた. この研究課題において,以前から継続的に進めてきて得られた研究成果としては,(1)半正定値計画問題に対する多項式主双対内点法の解析 (2)2次錐計画問題に対する多項式主双対内点法の解析 (3)線形計画問題に対するアフィンスケーリング法の大域的収束性の反例の構成などがあげられる. そしてここでは新たに,(4)半正定値計画法のグラフィカルモデル推定への応用,(5)リニアモーターカーの磁気シールド設計問題への2次錐計画の応用 (6)線形計画問題に対する,計算複雑度が係数行列のみに依存する多項式解法であるVavasis-Yeのアルゴリズムの改良 (7)JB代数を用いた多項式主双対内点法の無限次元最適化問題への拡張などについて研究した. (4)では変量間の因果関係を解析するためのグラフィカル推定を半正定値計画法と組合せ最適化手法を組み合わせ、情報量規準を最適化する手法によって行うことを試みた.アルゴリズムを実際のデータ解析に適用した.(5)では現在開発が進められているリニアモーターカー磁気シールド設計を2次錐計画問題を用いて行いその有効性を実証した.そしてこの例題を通じてさまざまな主双対内点法を比較した.(6)では,Vavasis-Yeアルゴリズムにおいて用いられる層化最小2乗法における新しい層の構成法を示した.(7)では,多項式主双対内点法が本質的には無限次元2次錐計画に拡張できることを証明し,制御への応用例を示した.(1)から(7)以外に,線形計画問題に対するアフィンスケーリング法と半正定値計画問題に対する主双対内点法を予備的に実装し,ベンチマーク問題などを解くことも試みた.
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