研究概要 |
1783年(天明3年)の浅間火山の降下軽石と1707年(宝永4年)の富士火山の降下スコリアの両試料について,圧密実験を行った.その結果次のようなことが判明した. 供試体を乾燥状態で一軸圧縮した時、その減少量は経過時間の対数に従って直線的に増加する。 浅間降下軽石堆積物から製作した供試体と富士降下スコリア堆積物から製作した供試体を一軸圧縮した時、変位量-経過時間の片対数グラフ上に描ける近似直線の傾きは、後者の軽石供試体の方が前者のスコリア供試体より3.6倍大きい値をとる。 粒径をそろえた場合、最大密度と最小密度の比は供試体の構成粒子に依存せず0.8前後の値をとる。 圧縮試験の結果,最小密度(堆積当時)からきわめて短時間内に最大密度近くに達し,その後200から300年経た時点での密度にほぼ等しいのではないかという展望が得られた. 富士火山宝永4年降下スコリア堆積物について,既存の資料を検討したが,浅間火山天明3年噴火降下軽石堆積物の層厚変化(荒牧ほか,1998)とはやや異なった経時変化を示すような結果を得た.史料に記載された堆積直後の層厚値は、富士火山宝永4年噴火降下スコリア堆積物で1.69倍、浅間火山天明3年噴火降下軽石堆積物で体積換算の時1.34倍、直接測定の時2.01倍、過大視して書かれているという結果となった。
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