研究概要 |
平成11年度は,水田地域3地点程度を選定し,大気・土壌および魚類試料の採取と分析を行った。平成12年度は,調査区域の拡大および特定区域内のより詳細な調査を同時に実施した。平成13年度は,都市域および森林域の大気および土壌の分析を実施すると同時に,地域における土地利用調査結果とあわせて,地域環境におけるダイオキシン類環境動態予測モデルの開発に取り組んだ。研究期間の研究実績を大気--土壌系,水田--生物系および水田--作物系に3別して以下に記す。 1)大気--土壌系については,水田において,季節変動の把握のために春,夏および秋季に試料を採取し,分析を行った。この調査では昨年度までの試料採取および分析方法を延長して検討を行った。 2)水田--水--生物系については,水田地域の環境動態をより詳細に解明するために数地域のより閉鎖系の水田地域を調査対照区域として選定し,より精密に流出/濃縮の調査を実施した。水試料の分析に際しては、これまでに開発してきた簡便分析手法を適用するための改良も行った。また,河川の上流〜中流域において河川水を採取し,これら試料の分析も行った。また,調査結果をもとに水田域からのダイオキシン類流出負荷原単位の算出や流出負荷モデルを作成した。 3)水田土壌上の米の分析を実施した。試料は藁,籾殻,糠および白米に分離して分析した。作物試料の分析に際しては,これまでに開発してきた簡便分析手法を適用するための改良も行った。 これらの研究成果から,石川県(特に犀川)をモデルとした地域環境におけるダイオキシン類の環境動態に関する多くの知見が得られた。また,ダイオキシン類流出負荷モデルと組み合わせた環境動態予測モデルの開発により,地域環境におけるダイオキシン類の将来濃度をある程度予測可能となった。
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