研究課題/領域番号 |
11680538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
野上 祐作 岡山理科大学, 理学部, 教授 (00172768)
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研究分担者 |
吉良 尚平 岡山大学, 医学部, 教授 (50033212)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 水環境 / 多環芳香族炭化水素 / ベンツピレン / 懸濁物質 / 分別測定 / 懸濁態ベンツピレン / 溶存態ベンツピレン / 変異原性 |
研究概要 |
多環芳香族炭化水素(PAHs)は極めて疎水性が強いため、それらが水環境中に輸送された場合、共存する懸濁物質(SS)等へ速やかに移行することが考えられる。そこで、岡山県下の三大河川および児島湖においてその実態把握を行った。すなわち、採取した試料水を、JIS K0102に準拠し、懸濁物質とろ過水に分離し、それぞれのPAHs量を測定した。 河川では、SSが数mg/Lと少なく、懸濁態のベンツピレン(p-BaP)、溶存態のベンツピレン(d-BaP)ともに数ng/Lであったが、前者が全体に占める割合は約60%であった。一方、児島湖では、SSが20〜30mg/Lと多かったが、BaPの総濃度は河川とほぼ同じであった。しかし、p-BaPが全体に占める割合は約90%と高かった。児島湖におけるBaP以外のPAHs(フルオランテン、ペリレン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[e]ピレン)についても懸濁態のものが90%以上を占めた。また、PAHsの中で、水への溶解度の高いものほど溶存態として水中に長く留まる傾向が見られた。 SSおよびろ過水から分離濃縮されたPAHs含有分析試料を用いてAmes試験で変異原性を調べたが、いずれも有意な変異原性を確認するには至らなかった。このことは分離濃縮で回収された変異原物質の総量が少なかったためと考えられ、そのため、懸濁態のものが溶存態のものに比べて特に変異原性が高いということは確認できなかった。 また、SSの組成とPAHsとの相互作用については、現在、検討中であり、報告できるまでには至っていない。 以上をまとめると、現時点では、岡山県下の水環境中のPAHsは概ねpptレベルで推移していると考えられ、それらは、主に、SS等に吸着された形で存在している。したがって、それらのホルモン様作用等を検討するにあたっては、溶存態の部分だけで議論することを避けなければならないと考える。
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