研究課題/領域番号 |
11680539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
東 久美子 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (80202620)
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研究分担者 |
的場 澄人 国立極地研究所, 研究系, COE研究員
本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20210099)
藤井 理行 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (20125214)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 雪氷コア解析 / 北極域 / 大気汚染物質 / 長距離輸送 |
研究概要 |
北極域における多点雪氷コア解析により、大気汚染物質起源の硫酸及び硝酸イオンの歴史的変動、及び工業地帯からの輸送経路等について以下の知見を得た。 1.スバールバルの北東島に位置するアウストフォンナとヴェストフォンナで掘削した雪氷コアから得られた過去200年間の硫酸イオンと硝酸イオンの濃度変動のトレンドを解析した。その結果、アウストフォンナとヴェストフォンナの両氷帽において硝酸イオン、硫酸イオンともに1950年代頃から急激に増加し始めたことが明らかになった。これは、ユーラシアの工業地帯からスバールバルに長距離輸送された大気汚染物質の影響であると考えられる。また、両氷帽で1970年代から硫酸イオン硝酸イオンともに急激に減少したことも明らかになった。アウストフォンナのコアのデータを詳細に解析したところ、硫酸イオンと硝酸イオンの濃度には数年から数十年スケールの変動が見られ、これは北大西洋振動と良い相関があった。このことから、1970年代以降の硫酸と硝酸の急激な現象は公害規制による大気汚染物質の減少に加えて、北大西洋振動のモードが変化したことによる大気循環の変化の影響を受けている可能性が高い。 2.カナダから供与を受けたデボン氷帽の雪氷コアデータを解析したところ、硫酸イオン、硝酸イオンともに1950年頃から急激な増加を示していた。デボン氷帽はカナダ北極域高緯度のアガシー氷帽とカナダ北極域低緯度のペニー氷帽の中間に位置するが、硫酸イオンのトレンドは、ペニー氷帽とは異なり、アガシー氷帽と類似している。 3.北極域の多点雪氷コアの解析結果から、カナダ北極域高緯度とスバールバルはユーラシアの工業地帯の影響を強く受けること、カナダ北極域低緯度とグリーンランド南部は北米の工業地帯の影響を強く受けること、また、グリーンランドの北部、中部とカナダ北極域中部ではユーラシアと北米の両方の影響を受けることが明らかになった。
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