研究概要 |
本研究では海や湖の底質のコプラナーPCB蓄積状況を、実際に底質採取、年代特定した試料を分析し、歴史トレンドとして把握することを第一の目的とした。そして、コプラナーPCBに関する発生源情報の文献、資料収集を行い、底質試料の分析結果を合わせて、主成分分析を適用し、発生源寄与推定を行うことを第二の目的とした。 まず日本の琵琶湖,大阪湾の底質を中心にPCDDs/DFs及びPCBsの歴史トレンド解析を行った。PCDDs/DFsについて、琵琶湖,大阪湾では1960年頃から底質中濃度の増加が見られた。同族体・異性体分布の検討から、琵琶湖,大阪湾では燃焼発生源及びPCP・CNPなど化学薬剤による複合汚染であると考えられた。PCBsの濃度トレンドは、琵琶湖南湖,淀川沖,神戸沖など工業地帯周辺では底質中濃度のピーク時期とPCBs製品の生産・使用時期の一致が見られた。PCBs同族体分布は総じて4塩素化合物が顕著であったが、地点間での差が大きく、バックグラウンド地域では3塩素化物の割合が、琵琶湖では5,6塩素化物の割合が、大阪湾では7,8塩素化物の割合が高かった。Co-PCBs異性体分布でも同様に、バックグラウンド地域では主として低塩素化の異性体(#77,105,118)が検出されているのに対し、琵琶湖ではより高塩素化の多くの異性体が、さらに大阪湾では#170,180がかなり高い割合で検出された。バックグラウンド地域については大気経由で離れた地域の発生源の影響を、他地域では周辺の発生源から水系、及び大気経由の影響を受けていると推測された。
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