研究課題/領域番号 |
11680577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境保全
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | アルギン酸 / ペクチン酸 / キトサン / 重金属 / 鉛 / ヒ素 / 乾式架橋法 / SPG |
研究概要 |
まず、アルギン酸類とキトサンの真球状体の製造を行った。その方法は、宮崎県工業試験場が開発したSPG(Shirasu Porous Grass;シラスから創った多孔質ガラス)を用いる方法と懸濁重合法の2通りである。前者については、SPG膜乳化装置を用いてW/Oエマルションをつくり、それらをそれぞれ酸およびアルカリ水溶液で処理することによって単一の球状粒子を合成した。後者については、アルギン酸類のアルカリ溶液およびキトサンの有機酸水溶液を調整し、分散重合反応装置を用いて、これらの水溶液を有機溶媒中に分散させた後、架橋を行い真球状体を得た。このとき、球状体を得るための分散媒体、界面活性剤などの最適条件を検討し、最適化を行った。これらの方法を用いて、キトサンやアルギン酸類の真球状体を容易にしかも大量に得ることに成功した。これらの球状体の架橋は、我々が開発したキトサンのアミノ基をシッフ塩基で保護する方法(特開平6-227813)により行い、粉体については、今回新たに開発した乾式架橋法(特許申請中)により架橋し、架橋反応によりアミノ基が潰れないことを確認した。 次に、アルギン酸類樹脂を用いて、まず鉛の吸着実験を行った。その結果、鉛はpH=2-3付近で100%吸着され、他のベースメタルよりも選択的に吸着されることが明かとなった。一方、3価の鉄は5価のヒ素と強く結合するので、この吸着剤に鉄を坦持させ、この鉄坦持アルギン酸類吸着剤によりヒ素の吸着除去をバッチ法により行い、3価のヒ素はアルカリ側で、5価のヒ素は酸性側で吸着除去されることが見い出された。この研究で合成した鉄-アルギン酸樹脂は、市販のキレート樹脂やイオン交換樹脂よりも低pH領域で鉄を吸着し、本樹脂が低pH領域でも非常に安定であることが見い出され、繰り返し使用ができることが見い出された。 本研究で得られた真球状のキトサン樹脂のアミノ基を利用して新規なキトサン誘導体樹脂を作成した。キトサンのアミノ基とイソチオシアン酸誘導体との反応により数種のチオ尿素型キトサン樹脂の合成を行った。イソチオシアン酸誘導体のアルキル基を脂肪族あるいは芳香族に変化させることにより、重金属イオンおよび貴金属イオンに対する吸着性能を制御することができた。まず、比較のためにキトサン樹脂によるヒ素の吸着を行い、次いでチオ尿素型キトサン樹脂による重金属イオンの吸着特性を調べた。チオ尿素型キトサン誘導体は、ソフトな金属に分類されている3価野」ヒ素に対して高い選択性が期待されたが、実際はほとんど吸着されなかった。同様に5価のヒ素に対しても吸着性能は示さなかった。本研究で扱ったこれらの多糖類高分子のビーズはカラムに充填して従来の吸着剤と同様に利用することが可能であり。一方、粉末状のゲルは水溶液中での分散特性とろ過特性に優れており、多糖類高分子のもう一つの大きな特色としてあげられる。この特性は充填塔などの特別な装置を用いなくても、この吸着ゲルを汚染水と共にタンクにいれて撹拌分散した後にゲルをろ別することにより汚染水の浄化が簡単に達成できることを意味しており、発展途上国での簡易型の浄化法として適している。ゲルのろ過を行う場合にはろ剤の目詰まりが問題となるが、このためにはセラミックスフィルターでもあるSPGの使用が適していることが明かとなった。
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