研究概要 |
平成11年の研究結果を引き続いて、解析した酵母由来ACC deaminase(yACCD)の構造から推定した活性部位に直接関与しているLys51、Lys54、Ser78及びAsn79の変異体の調製を行った。発現系のベクターの変更したため,K51A,K51T,K54A,S79A,N79A,N79D,N79S変異体の発現ができた.そのうち,K54A,N79A以外の変異体の可溶化,精製も成功した. ACCDはPLP酵素であるため、吸光スペクトルの経時追跡実験により反応進行は容易に観測することができる。すなわち、構造的研究に移行するために有意な変異体かどうかを、溶液状態において判断することができるため、結晶化実験を行う前,精製できた変異体の活性測定を行った。その結果,すでての変異体の活性が失った.現在,大量精製できているK51Tの結晶化条件が探索中である. また,全塩基配列の解析が既に終了している超高度好熱古細菌Pyrococcus horikoshiiからACCDとアサインされたORFは、活性部位周辺のアミノ酸残基配列もyACCD,pACCDと相同性の高いものとなっており、明らかにTRPSなどの他のPLP酵素とは異なっている。しかしながら、この菌の生育環境である深海にACCが存在するとは考えらない。このことから、ACCDとしてではなく他の役割を果たしている可能性が考えられた。この蛋白質(仮称:phoACCD)の生化学的、構造学的研究からACCDに対する理解を深めるために、phoACCDのクローニング、大腸菌による大量発現系構築、精製した.精製した酵素の活性を測定したところ、ACCに対し活性が検出できなかった。しかしL-AlaおよびL-Serに対しては反応が進行し、ケト基を有する化合物を生成したことが確認できた。そして結晶化実験を行って,2.2Å分解能の回折データを得ることができた.現在,構造解析が進行中である.
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