研究課題/領域番号 |
11680631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
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研究分担者 |
小清水 右一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50281126)
船越 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40273685)
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | HGF / クリングルドメイン / NK4 / 血管新生 / 腫瘍血管新生 / Kremen / 転移 / 膵癌 / 肝細胞増殖因子 / HGT / 癌治療 / クリングル / 制癌剤 |
研究概要 |
HGFなどクリングルドメインをもつ分子は組織再生、血管新生と阻害など重要な生理活性を示すことから、新規クリングル分子の解明は血管調節機構の新たな解明につながることが予想された。一方、私達は癌の浸潤・転移阻止を目的に調製したNK4はクリングルドメインをもつHGFの分子内断片であるが、今回、NK4が強力な血管新生阻害作用をもつことを明らかにした。本研究は新規クリングル分子のクローニングを行うとともに、NK4の血管新生阻害ならびに制癌作用を明らかにすることを目的とした。 (1)NK4の血管新生阻害と制癌作用:NK4は血管内皮細胞の増殖・遊走をブロックするだけではなく,ニワトリ胚漿尿膜系ならびにウサギ角膜系での血管新生を抑制した。したがってNK4はHGFアンタゴニスト活性に加え血管新生阻害活性を有しており、難治癌に対するNK4の制癌作用が期待された。ヒト膵癌細胞をヌードマウス膵臓に移植後NK4を投与したところ、NK4は腫瘍血管新生を阻害し移植膵癌の成長を抑制するとともに、腹膜播種、腹水の貯留、肝転移など膵癌特有の悪性形質を強力に抑制した。また、NK4は膵癌に加え、マウスに移植した肺癌、乳癌に対しても浸潤・転移・腫瘍血管新生を阻害した。NK4を用いる癌治療は、あたかも悪性癌を良性腫瘍のごとき"dormant"な癌に至らしめる治療戦略であり、従来の制癌法の難点を克服するものである。 (2)新規クリングル分子KREMEN:クリングルドメインをもつ分子を高効率にクローニングする戦略"Kringle-SAGE法"を確立し、これにより新規クリングル分子(Kremen)のクローニングに成功した。Kremenは473個のアミノ酸からなるI型の膜貫通型蛋白質であり、細胞外にクリングルドメインに加えCUBドメインを有する。KremenはI型の膜貫通型蛋白質であるとともに、神経、筋細胞の分化進行に応じて発現が上昇することから、神経ならびに筋肉の分化や組織化、神経-筋肉のコネクションに関与することが予想される。また、Kremenに加え数種の新規クリングル分子が同定されており、Kringle-SAGE法は新規のクリングル分子の構造と機能解明に極めて有効であると考えられる。
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