配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
シネフンギンは放線菌Streptomyces incarnatus NRRL8089が生産するヌクレオシド系抗生物質である。Candida albicansに対する抗真菌活性を示すほか,トリパノゾーマ原虫にも有効でマラリアの特効薬としても期待されている。シネフンギンはS-アデノシル-L-メチオニンの構造類似体であり.これを基質とする各種のメチラーゼ酵素に対する拮抗阻害剤として働く。シネフンギン生合成酵素はL-アルギニンとATPを基質としてピリドキサールリン酸(PLP)を補酵素とすると報告されているが.酵素の実体は明らかにされておらず,生合成機構解明が待たれている。 本研究では,シネフンギンのアッセイ法としてメチル化阻害試験法をまず確立した。つぎにS.incarnatusからリファンピシン耐性を獲得した突然変異株を調製してシネフンギン生産能が向上した変異株を選抜した。シネフンギン合成酵素の精製を検封したが酵素活性を検出することができなかったので放線菌Streptomyces lividans/pKU110の宿主ベクター系を利用してシネフンギン合成酵素の遺伝子クローニングを行った。本菌のゲノムDNAを限定分解してpKU110にライゲーションしてS.lividans TK24を形質転換した。200株の組換え体から,メチル化阻害試験で活性を示す3個の組換え体(#19,#20,#21)を得た。これらの組換え体を大量培養してシネフンギンを精製してHPLCで定量した結果,#19株が最も高いシネフンギン生産量を示した。しかし,これらの組換え体から組換えプラスミドが分離できなかった。プラスミド上のチオストレブトン耐性遺伝子(tsr)をPCRにより増幅してベクターの有無を検討したが,耐性遺伝子は増幅されなかった。以上の結果からクローニングされた遺伝子断片はS.lividansのゲノムDNA中に組みこまれて発現している可能性が示唆された。本研究に関する英語報文二報が掲載された。
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