配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
平成11年度は,実験装置・結果の解析系の改良をまず行った.従来の高時間分解能電気測定装置の入力インピーダンスをさらに高くして,測定可能な時間領域をのばすとともに,解析系のプログラムを移動平均を取りながら,間引き処理をするように改良した. 平成12-13年度は,H.salinarum由来のハロロドプシンを用いて,輸送イオンであるCl^-の濃度を広範囲に変化させて,どの反応ステップが輸送に関わっているかを詳細に検討した.その結果,H.salinarum由来のハロロドプシンは3MCl^-存在下でmsecとsub-msecのオーダーの時定数を持つ電荷移動を示した.Cl^-濃度を更に上げていくとmsecの時間領域で起こる電荷移動が顕著に遅くなることが観察され,信号強度も減少した.この結果は,遅い電荷移動の成分が,蛋白内部から表面へのCl^-移動に関与することを示す.そこで時定数の増加は,この表面にある結合部位が空の状態である確率に関係し,強度の減少は,エネルギー化状態が緩和することによるものと仮定して解析した結果,エネルギー化状態の寿命が,約90msecと見積もられた(現在投稿中). また,日立基礎研の大友純博士の協力を得て,Shark株のハロロドプシンの野生型及びR108Q変異体を供与していただき,その起電性について検討した.その結果,従来Cl^-輸送に必須と言われていたR108をQに変異させたものでもCl^-濃度を非常に上げてやると起電性を示すこと,そのCl^-濃度依存性は見かけ上急峻な協同性を示すことなどが明らかになった. 一方イオンポンプの動作機構に関して確率的な要素を大幅に取り入れたモデルを構築した.現在,このモデルを拡張して自由エネルギーの概念を自然に取り込んで熱力学・統計力学との関連が明らかになるように改良中である.
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