研究概要 |
1)XAB2と相互作用する蛋白質の検索とその解析:Flag-tagを付加したXAB2をHeLa細胞で発現させ、抗Flag抗体を用いて精製すると、XAB2はpre-mRNAのスプライシングに関与する5種を含む約20種の蛋白質と共に精製された。この分画をゲル濾過、miniQを用いてさらに精製すると、XAB2は5種の蛋白質と同一画分に精製されることから、これら5種の蛋白質(p160,p57,p50,p42,p35)はXAB2と強固な複合体を形成していると考えられた。p57は核マトリクス蛋白質でスプライシングとDNA修復に関与する酵母prp19と、p42はスプライシングに関与する酵母ISY1と相同性が見られた。p35は以前私たちがYeast two-hybridスクリーニングによりXAB2と結合する蛋白質として同定したRNA結合能を持つサイクロフィリンであった。抗体を用いて細胞内局在を調べたところXAB2は核内に点在していた。これらの結果と、XAB2がRNAポリメラーゼIIと免疫共沈することから、XAB2は"RNA factory"の構成因子でRNA代謝と関連する種々の細胞内機構に関与していることが推測された。 2)XAB2欠損細胞および個体の作成と解析:遺伝子ターゲティング法を用いてXAB2完全欠損及びC末端欠損マウスの作成を行った。ヘテロ接合体は正常に発生、生育した。ヘテロ接合体同士の交配を行ったが、ホモ接合体は得られなかった。ヘテロ接合体同士の交配により得られた3.5日胚を解析した結果、どちらのホモ接合体とも受精後、桑実胚期で発生が止まり、胚盤胞まで発生できないことが判明した。これらのことからXAB2は哺乳動物の初期発生に必須な因子であることが判明した。
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