研究概要 |
(1)細胞表面に発現する70kD熱ショック蛋白質(HSP70)様分子を認識する単クローン抗体#067とNT22を樹立し,抗原の局在とエピトープのアミノ酸配列について解析した.NT22は,HSC73のアミノ酸345-373の領域を認識することを明らかにした. (2)細胞表面に発現するHSP70様分子とT細胞との相互作用について解析し,HSP70反応性T細胞の抗原受容体遺伝子を同定した. (3)HSP70が抗原ペプチドと結合し,これをTAPに輸送するメカニズムについて解析した.HSP70かATP依存性にTAPと会合していることを見いだした. (4)各種抗原ペプチドとHSP70との親和性について解析し,この親和性が抗原ペプチドの小胞体転送効率と相関していることを見いだした. (5)HSP70にシャペロンされた抗原ペプチドは,MHC class Iによって提示されやすいことを見いだした. (6)NT22抗体が認識するアミノ酸配列をもとにしてdegenerated primerを作製し,PCRクローニングを試みた結果,PCR産物が1種類得られた.塩基配列を決定したところ,これまでに報告のない未知の遺伝子であることが判明した.この遺伝子の全長をクローニングし,細胞における発現を解析中である. (7)Daudi細胞から2種類のライブラリーを作製し,signal sequence trap法を試みた.しかし,この方法では陽性クローンは得られなかった. (8)W31細胞のcDNAライブラリーと#067抗体を用いて発現クローニングを行った.陽性クローンの遺伝子配列について解析中である. (9)Hela細胞のcDNAライブラリーとNT22抗体を用いて,retrovirus発現クローニングを行っている. (10)小胞体に発現するHSP40分子HEDJ-1の遺伝子をクローニングし,リコンビナント蛋白を作成した.抗HEDJ-1抗体を作成し,細胞組織における発現と小胞体ストレスにおける役割について解析した.
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