配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
本研究は,発症までの潜伏期間が短く,正常型プリオンタンパク(PrPc)の異常化のキーポイントになると考えられるPrPc-感染型プリオンタンパク(PrPsc)分子間相互作用を可視化できるヒトプリオン感受性モデルマウスの確立を目的とした。 まず,オワンクラゲ由来の蛍光タンパク(Fluorescent Protein, FP)-マウス/ヒトキメラ分泌型PrPc融合遺伝子を導入したマウスを作製すると共に,系統化および基本的解析を計画した。各々,4および5系統のEGFP-,EBFP-マウス/ヒトキメラ分泌型PrPc融合遺伝子を持つ遺伝子導入マウスが得られた。導入遺伝子の発現の組織特異性は,同一のマウスプリオンプロモータを用いて確立した多種の遺伝子導入マウスと同様で,広く様々な臓器で発現するが主に中枢神経組織において強い発現がみられた。次に,ヒトPrPscを接種する感染実験を計画したが,先行して我々が行っていた実験において,FPのついていないマウス/ヒトキメラ分泌型PrPc遺伝子導入マウスのヒトプリオン感受性は,マウス/ヒトキメラ型PrPc遺伝子導入マウスに比較して高くならず,逆に潜伏期間の延長がみられたため(東北大・北本および九大・毛利らとの共同研究,未発表),実施を中断した。接種されたヒトPrPscとの相互作用を促進し,且つ,マウス個体内でのプロセシングを内在性のものに近似させる試みで行うPrPc(遺伝子)の修飾に関して,マウス/ヒトキメラ型PrPc遺伝子以外のものはヒトプリオン感受性を下げる傾向を示しており(東北大・北本および村本,九大・毛利らとの共同研究,未発表),今回の手法の限界や困難さを示している可能性がある。リンパ組織のFollicular dendritic cellは,感染後最も早期にPrPscが観察される部位であることから,プリオン感受性や早期診断のために重要と考えられている。その観点から,内在性以外の,現在若手しているようなMHC class IIプロモータを用いたマウス/ヒトキメラ型PrPc遺伝子導入マウスは改めて検証する価値があると思われる。殊に,PrPcの修飾が潜伏期間の延長を導く傾向があることから,導入遺伝子の構造に依存して予防的効果も期待できる。
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