研究概要 |
1.自家移植膝蓋腱の再構築過程における外来性細胞浸潤の影響 (1)家兎72羽を使用し,凍結処理膝蓋腱への外来性細胞浸潤を阻止することが膝蓋腱の力学的特性に与える効果を検討した. (2)結果:外来性細胞浸潤の阻止は内在性細胞壊死後膝蓋腱の力学強度の低下を抑止した. 2.負荷増大が凍結処理後膝蓋腱の力学的特性に与える影響 (1)家兎30羽を使用し,膝蓋腱の断面積を減少させることにより応力を増加させ,負荷増大が凍結処理後の膝蓋腱の力学的特性に与える影響を検討した. (2)結果:断面積を67%に減少させた群では凍結処理のみを施行した膝蓋腱の力学的特性と有意差は認められないものの,断面積を50%に減少させた群では引張強度が有意に低値を示した. 3.内在性線維芽細胞および外来性浸潤細胞が過負荷膝蓋腱の力学的特性に及ぼす影響 (1)家兎48羽を使用し,過負荷が膝蓋腱の力学的特性に与える影響を内在性線維芽細胞および外来性浸潤細胞の有無において比較検討した, (2)結果:内在性線維芽細胞の存在は過負荷による膝蓋腱の力学的特性の低下を阻止した.一方,外来性浸潤細胞の存在は過負荷による膝蓋腱の力学的特性の低下を阻止できないものの,その断面積を増加させた. 4.凍結処理膝蓋腱の再構築における過負荷および除負荷が及ぼす影響の差異 (1)家兎50羽を使用し,非生理的な負荷が凍結処理膝蓋腱の力学的特性に与える影響を検討した. (2)結果:非生理的な負荷軽減は線維芽細胞壊死後の膝蓋腱の力学的特性を鋭敏に低下させた.一方,負荷増大は比較的緩徐に線維芽細胞壊死後の膝蓋腱の力学的特性を低下させた. 5.以上の本研究結果より,凍結処理膝蓋腱の再構築過程における過負荷が及ぼす影響は除負荷のそれと異なること,さらにその発生機序には外来性浸潤細胞の生物学的反応が大きく関与していることが示唆された.
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